出発〜十津川ルート(道の駅 吉野路大塔まで)
朝6時、いつものコンビニに集合。まだ太陽も顔を出しきらない時間帯だが、すでに今日一日のワクワクがエンジン音にのって弾け出している。天気は晴れ、最高気温は26℃の予報。とはいえ、朝は肌寒く、山間部では体感気温が10℃近く低くなることも珍しくない。春〜初夏にかけてのツーリングは、寒暖差に対応できるウェア選びがキモになる。
ジャケットの下にインナーを一枚仕込んで、まずは大阪を出発。近畿道を抜けて、南阪奈道路を快走し、奈良県を経由して和歌山県の山間部へ。国道168号線に入ると、グッと交通量も減って走りやすさが増す。
この国道168号は「五條新宮道路」として改良が進むツーリング向きルート。かつてはクネクネと狭い道が多かったが、今ではかなりの区間がトンネルや拡幅工事で改善されていて、走りやすくなっている。とはいえ、時折現れる旧道っぽい区間や急カーブもあって、油断は禁物。ライダーとしての集中力を問われる、いい意味で“緊張感のある道”だ。
途中、道の駅「吉野路 大塔」で小休止。早朝ツーリングで冷えた体をホットコーヒーで温めながら、地図とルートを再確認。この道の駅は小ぢんまりしてるけど、駐車スペースは広く、ライダーにも優しい場所。ここから先、いよいよ紀伊半島の本格的な冒険が始まる。
黒マグロの名店へ
国道168号をさらに南下しながら山々を抜けていく。空気は澄んでいて、エンジンの鼓動に合わせて風が顔をかすめていく。そんな快走を続けていたら、10時40分には目的地の店に到着。開店は11時。リーダーの読みはピッタリだった。

この店、ライダーの間でも有名なマグロ丼の名店である「まぐろのヤマキ」。すでに数人の先客が並んでおり、その後も次から次へと車やバイクが集まってくる。11時の開店と同時に店内へ。注文したのは看板メニューの「まぐろ贅沢丼」と「本マグロのまかない炙りカルビ」。

テーブルに運ばれてきた丼を見た瞬間、全員テンション爆上がり。ご飯が見えないほどに盛られたマグロ、これでもかと詰め込まれた赤身と脂のコントラストが食欲をそそる。タレは醤油よりマイルドな塩味系で、「たっぷりかけてください」とのことだったが、正直に言って最初の倍量でも足りなかった(笑)。さらに追加でドバッとかけて、ようやくマグロとご飯の一体感が完成。

それにしても、このボリュームでこの価格。黒マグロをここまで贅沢に食べられるなんて、都会じゃまず無理。しかもカレーや鯨の舌といった珍メニューもあるし、正直一度じゃ食べきれない。これはもう「再訪確定」だな。

腹も心も満たされて、次はいよいよ海沿いの絶景ルートへ。ガソリンもお腹も満タンで、再び走り出す。
海沿い絶景ルートと観光地
腹ごしらえを終えて国道42号線に合流すると、風景が一気に海モードにシフト。左手に青く広がる太平洋を眺めながら、気持ちのいい海沿いワインディングが続く。道幅も広めで路面状態も良好。これはもう、ツーリングのご褒美みたいな時間だ。
しばらく走って和歌山県東牟婁郡・太地町へ。ここで巨大な「くじらのモニュメント」を発見。捕鯨の町・太地ならではのランドマーク。
仲間たちとバイクを並べて記念撮影タイム。でっかいクジラの写真を撮ると、ちょっとツーリングっぽさが増すんだよな。


その後、橋杭岩(はしぐいいわ)に立ち寄って小休憩。この奇岩群、見た目もインパクトあるけど、潮の干満で景色がガラッと変わるのがまた面白い。この日はちょうど引き潮で、岩場のかなり奥まで歩いて行ける状態。子供たちが水たまりで遊ぶ姿に癒されつつ、大人ライダーは名物「きんかんソフト」でクールダウン。ほんのり柑橘の香りが効いたソフトは、海風と相性抜群だった。


絶景、記念写真、ご当地スイーツ。ツーリング中にこういう「ちょっと立ち寄り」があると、旅がグッと豊かになる。
さぁ、次は山へ!南紀白浜を目指して、アクセルを少しだけ開けていく。

龍神スカイラインのワインディングと帰路
白浜を過ぎると、海とはお別れ。海沿いから内陸へ進むにつれて、道はだんだんとタイトなカーブを描くワインディングへ。このあたりは“走って楽しい”がギュッと詰まったエリア。ライダーなら一度は走りたい、龍神スカイライン。バイクと一体になって、右へ左へとバンクしていく時間は、まさに至福の瞬間。
護摩山頂上にある道の駅、ごまさんスカイタワーで休憩。ヒルクライムで熱くなったバイクと上がったテンションをクールダウン。

その後は、高野山へ抜けていく山道ルート。奥の院で休憩しつつ、神聖な空気をしばし満喫。ここまで来ると、旅も終盤の雰囲気だが、最後まで気を抜かずに走る。
高野山の奥の院で、エンジンの熱を冷ますためにバイクを止めてひと息ついてたところ。
「こんにちはー、帰りもお気をつけくださいねー」
同じくツーリング中らしきライダーが軽く会釈して走り去っていった。
ただそれだけ。でも、なんだか心があったかくなる。
顔も名前も知らない。だけど同じ風を感じて、同じ道を走る者同士のさりげない気遣い。こういうのが、ライダーっていいなって思える瞬間。
by.UNDO
ラストは、和歌山北部を貫く「紀ノ川フルーツライン」で締め。アップダウンが少なく、広々とした道は帰路にぴったり。奈良県をかすめつつ、大阪へと戻っていく。
朝に集まった場所へ無事帰着。距離は出たが、景色もグルメも楽しめた大満足ツーリングだった。
まとめ
和歌山・紀伊半島は、まさにツーリング天国だった。
大阪からアクセス良好な距離にありながら、深い山々と澄んだ海、さらにはグルメや温泉と、ツーリングに求めるすべてが凝縮されたエリア。それが紀伊半島。
国道168号線で山間部を抜けると、絶景の海岸線が待っている。国道42号線では、太平洋を眺めながらの快走ルートが続き、太地町のくじらのモニュメントや橋杭岩といった見どころも充実。地元グルメの黒マグロ丼や、きんかんソフトといったローカルフードも、旅の楽しみをさらに深めてくれる。
山側では龍神温泉や高野山といった癒しスポットが点在し、最後の最後まで飽きることがない。特に龍神スカイライン周辺のワインディングは、バイク乗りなら一度は走るべき名ルートだ。
気温差に注意しながらも、季節の変わり目こそベストシーズン。春・初夏・秋の紀伊半島は、まさに走って、見て、食べて、癒される「極上の一日」を約束してくれる。
次の休みに、君もぜひハンドルを紀伊半島へ向けてみてほしい。そこには、バイク乗りだけが知る特別な景色が待っている。
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