韮山反射炉(にらやまはんしゃろ): 近世の技術傑作が蘇る静岡の秘宝│静岡

日本には歴史的な遺産が数多く点在しており、その中でも特に注目すべき場所が存在します。

今回は、静岡県伊豆の国市に位置する「韮山反射炉」に焦点を当ててみましょう。

この場所は、1922年に国の史跡に指定され、その存在は近代日本の産業革命の証として認められています。

韮山反射炉の概要

韮山反射炉は、日本における近世の反射炉は２つあり、そのうち実際に鋳鉄(ちゅうてつ・いてつ)の溶解が行われた反射炉としては世界で唯一現存しています。

その存在は日本だけでなく世界でも特別なものです。ここでは、韮山反射炉の歴史、特徴、そして訪れる価値について探求してみましょう。

韮山反射炉の歴史

韮山反射炉の歴史は、日本の近代化と産業革命の一環として非常に重要な役割を果たしました。

このセクションでは、韮山反射炉の築造の経緯とその背後にある歴史的な背景について探ります。

築造の経緯と背景

韮山反射炉の建設は、鋳鉄の製造が必要とされた時代背景から始まりました。

1840年のアヘン戦争後、韮山代官 江川英龍は、海防政策の一環として鋳鉄の製造が必要と判断し、反射炉の建設を提案しました。そして、この提案が受け入れられ、反射炉の建設が決定されました。

1853年に伊豆下田で築造が開始されましたが、アメリカのマシュー・ペリー艦隊の水兵が敷地内に侵入したため、建造場所が変更されました。

その結果、中村反射炉として建設が進められ、1857年に完成しました。江川英龍とその息子江川英敏の尽力によって、反射炉は完成に至りました。韮山反射炉と称されるのは明治以降となります。

近代化産業遺産としての認定

韮山反射炉は、その重要性が認められ、1922年に国の史跡に指定されました。

さらに、2007年には経済産業省により近代化産業遺産に認定され、

2009年にはユネスコの世界遺産に暫定掲載され、2015年に「明治日本の産業革命遺産　製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として正式登録されました。その存在は、日本の産業史における重要な一部として位置づけられています。

韮山反射炉の歴史は、日本の近代化と技術革新の歩みを物語っています。次に、この反射炉の特徴について詳しく見ていきましょう。

韮山反射炉の特徴

韮山反射炉は、その独自の特徴によって注目されています。ここでは、この反射炉の特色をいくつか紹介しましょう。

1. 連双2基4炉の構造: 韮山反射炉は、高さ15.6メートルの連双2基4炉で構成されています。
   この多重の反射炉は、大量の鋳鉄を効率的に製造するために設計されました。
   
2. 大砲の自力製造: 韮山反射炉は、大砲の鋳造に必要な鋳鉄を自力で製造するために使用されました。
   この点が、日本における産業の独立性を高める一因となりました。反射炉が完成したことで、国内での大砲製造が可能になりました。
   
3. 建築構造: 韮山反射炉の炉体は、外側が伊豆石（緑色凝灰岩質石材）の組積造、内部が耐火煉瓦（伊豆天城山産出の土で焼かれた）のアーチ積で構築されています。
   煙突も耐火煉瓦の組積で、高さは約15.7メートル。

技術革新と反射炉の役割

韮山反射炉の存在は、日本の技術革新と産業発展の証として非常に重要です。

この反射炉は、大砲製造や鋳鉄技術の向上に貢献し、当時の幕府政府にとっては国防の一環として欠かせない存在でした。また、技術的な知識と経験を蓄積し、近代化への第一歩としての役割も果たしました。

韮山反射炉の技術は、その後の日本の工業化にも影響を与えました。

近代日本の鉄道、造船、製鋼などの産業発展において、鋳鉄技術は重要な要素となりました。このように、韮山反射炉は日本の歴史的な産業革命の端緒として位置づけられています。

「韮山反射炉」の基本情報

基本情報	韮山反射炉（にらやまはんしゃろ） ■所在地 　静岡県伊豆の国市中２６８ ■営業時間 　9:00～17:00 ■料金 　一般（高校生以上）：500円　 　生徒・児童：50円 　※団体割引あり ■駐車場 　無料駐車場あり ■問い合わせ 　0559-49-3450 ■ウェブサイト 　city.izunokuni.shizuoka.jp
地図

周辺のグルメ・レストラン検索&予約

周辺のツーリングスポット